4か月半のぴょんたランド運営について
2021年2月17日 投稿

4か月半のぴょんたランド運営について(社会問題編)

①小規模保育所・認可保育所等と私設保育園の違いについて

ぴょんたランドは国や自治体からの助成金・委託費を一切受け取っていない私設保育施設になります。全国的には「認可外保育施設」と言われています。認可外保育施設のほとんどは保護者様から頂く保育料だけで運営されており、ぴょんたランドも同様です。

 一方、いわゆる小規模保育所や認可保育所、東京都の認証保育園などは、助成金・委託費を受け取ることができる事業になります。私がコンサルタントとして携わってきた企業主導型保育事業も国からの助成金を受け取ることができる保育園で、保育所全体の収入のうち97%が助成金収入、残り3%が保護者の皆様から頂く保育料です。

 もちろん、人員配置要件(何人の保育者が最低限必要か)などは小規模保育所や認可保育所の方が厳しくそれだけ経費も掛かるのですが、我々認可外保育施設は他の保育所と圧倒的に少ない資金力で運営していかざるをえないのが現状です。しかも、我々認可外保育施設にも人員配置要件や設備要件は、小規模保育所や認可保育所並みとまではいかないにせよ課せられています。

②国の制度上の欠陥と保育事業の既得権益について

 ①の実情を踏まえた場合、「では、ぴょんたランドも条件を満たして認可保育所や小規模保育所になればいいじゃないか。」というお声も当然あるかと思います。

しかし、国・自治体の制度はそれを許してくれないのです。理由を説明します。

小規模保育所や認可保育所の条件には大きく分けて2種類の条件があり、それぞれ下記の条件です。

(1)設備要件(保育室の面積が足りているか?手洗いがあるか?など)

(2)人的要件(子どもを保育する従業員の人数は足りているか?など)

上記の条件は認可外保育所にもあるのですが、小規模保育所や認可保育所に課せられているのは認可外保育所よりも厳しいバージョンと思っていただければ問題ありません。この上記2つの条件を満たしている小規模保育所や認可保育所には、「児童数×○○円」のお金が国や自治体から支払われます。

ぴょんたランドの場合、(1)(2)ともにほとんど満たせるような状態にあります。小規模保育所や認可保育所になれると分かった瞬間に保育士を1名雇用すれば、それだけで条件クリアです。

しかし、厚木市は小規模保育所や認可保育所の数に制限をかけています。ぴょんたランドが(1)(2)の条件を満たしたからと言って、小規模保育所や認可保育所になることを認めてくれるわけではないのです。

個人的には、ここに制度上の大きな欠陥があると考えています。厚木市が小規模保育所や認可保育所の数に制限をかける理由は主に下記2つの理由です。

(1)待機児童がいない

(2)市内の3歳時以上の受け皿がやや余っている

上記(1)(2)が市役所から言われている理由なのですが、(1)については0歳~2歳の待機児童がすでに発生していることは市民感覚ではわかっていることですし、(2)については地域的な偏りもある話だと認識しています。

ぴょんたランドが小規模保育所や認可保育所と同じように国や自治体から委託費をもらえるようになれば、最新の教育プログラムを取り入れたり、保育士の数を増やしたり、内装をきれいにしたり、賃金のベースアップを図ったり・・・といろいろと思い描く未来があるのですが、現状はそれが「保育所数」の制限により許されていないのです。これは、我々からしてみれば、いわゆる「既得権益」です。同条件を満たせるにも関わらず、Aという保育園は小規模保育所や認可保育所になることができ、Bという保育園はなることができない状態なのです。

小規模保育所や認可保育所に入る委託費は「児童数×○○円」で計算されるため、個人的にはAもBも認めて保育内容や立地などで保育所同士に自由競争をさせるべきと考えるのですが、市役所的にはそうはいかないようです。市役所にとっては「保育所数」がすべてなのです。「保育所数を増やさない」という方針が既得権益を生み出し、ひいては保育の質の低下に結びついているのです。保育所同士の自由競争になれば、互いに保育の質を高め合い、より保護者に質の高い保育サービスを様々な事業者が提供できるようになると思うのですが・・・。

③私設保育園に理解のない市役所等の姿勢について

 ①~②のような実情がある以上、経営者としての私も黙ってじっとしているわけにはいきません。コンサルタントとしての仕事上、内閣府や厚生労働省と仕事をすることもあるので、そのような諸官庁から資料をもらって厚木市に説明に行ったことがありました。

 私が厚木市に示したプランはいわゆる「認可移行」と言って、ぴょんたランドが小規模保育所や認可保育所になるにあたって必要となる費用の2/3を国が負担し、自治体負担は1/12で済むものです。残り1/4は当社が負担します。例えば、必要な費用が1000万円であれば、下記のようになります。

約666万円・・・国の負担

約83万円・・・厚木市の負担

約250万円・・・当社の負担

 正直なところ、この方針が12月ごろに国から出てきた瞬間、私は「勝った。これでぴょんたをよりよくできる。」と感じました。私はすぐに厚木市にアポを取り、保育課に説明に行きました。

 ところが、皆様がうすうすお感じになられている通り、市役所の対応は違いました。まず、大前提として、いち事業者である私が政府の予算案等を必死に読み込んできたのに対して、市役所側は一切読み込んでおらず、「まだ読んでないんです~」程度の対応でした。

 ただ、私も行政書士として仕事をしている以上、そのような対応には慣れていたので、懇切丁寧に説明し、内容をご理解いただきました。

しかし、厚木市の答えは「NO」でした。理由は前に述べた「(1)待機児童がいない」「(2)市内の3歳時以上の受け皿がやや余っている」の二つの理由です。

私自身、市役所の担当課には大変お世話になっており、担当課の職員の方には「大変なんだろうなぁ」という思いはあります。決して、我々に悪意を持って「NO」と言っているわけではないと思います。

しかし、これほど良い制度があり、国も後押しをしているにもかかわらず、いつも答えは「NO」なのです。

④保育士不足について

 「保育園落ちた。日本死ね。」のブログが数年前にバズって以降、日本ではとにかく保育所の数を増やすことが先決課題となり、保育士数の確保や保育の質、保育従事者の処遇改善などはおざなりにされてきたのが実情です。仕事柄、国会議員の先生方や実際に保育政策に携わっている官僚の方々とお話しする機会も多いのですが、やはり数の確保だけを急ぎすぎた問題は皆が共通の課題として認識しています。

 正直に言えば、世間の声を受け止めれば仕方がない部分もあります。選挙のことを考えれば、「これだけ数の待機児童問題を解決しました!」と訴えた方が勝てます。保育士不足や保育の質なんて各所で事情が異なる問題ですし、そのような問題が全国的に表面化することは、少なくとも数の問題を解決できていない段階では起こりえません。

 しかし、多くの保育所が現状では「保育士不足」を痛感しており、求人数は増えるばかりです。弊社も今年の4月に東京都の浅草橋に企業主導型保育所を新規設置するのですが、やはりいくら求人を打ってもなかなか保育士が集まりません。

 では、厚木市内ではどうなのでしょうか?結論から言うと、厚木市内の場合は全国的な保育所不足と少し異なる原因により、保育士不足が発生しているような気がしています。それは、ずばり保育士の待遇問題です。

 3か月ほど前に、昔ぴょんたランドに在籍されていた川上先生とお話しさせていただく機会がありました。その時に厚木市内での保育士の時給をお話しいただいたのですが、1100円~1150円ほどの保育所が多いとのことでした。もちろんすべての保育所がそうであるという話ではないですし、パートの場合の話ではありますが、認可外保育施設である当社の賃金テーブルよりも低く、驚きました。

 また、私の場合は、小規模保育所や認可保育所の場合の全体収支も把握しているため、いかに経営陣が利益確保に走りすぎているかを感じました。もちろん、経営においては利益確保がリスクヘッジとも事業継続の柱ともなりますが、そのような賃金テーブルで運営した場合の収支はかなり利益が出るものであり、厚木市内の保育所が「いかに既得権益に守られているか」を実感した次第です。

4か月半のぴょんたランド運営について(私設保育施設の収支について)

①ぴょんたランドの収支状況について

最後に、これは本来であれば保護者の皆様に見せるべきものではなく、経営者としての私の恥をさらすようなものとなるのでお恥ずかしい限りではあるのですが、ぴょんたランドの収支について説明したいと思います。今回、収支を皆様にお見せしようと思ったのは、前述したような問題を厚木市あるいは保育業界が抱えており、その現状を皆様に知ってほしいと考えたからです。

なお、弊社はぴょんたランド以外に、塾運営(町田と多摩にあります)、企業主導型保育所のコンサルティング、オンラインサロンの運営代行、補助金・助成金申請などの業務を行っているため、現状は何とか他部門の収益でやりくりできていますので、その点はご安心ください。また、当社も事業譲渡をする際にこれくらいのマイナス幅は見込んでおりましたので、その点も「やっぱりか・・・」といった感想です。

 10月11月12月1月
収入476,000円576,000円576,000円626,000円
支出937,570円825,692円1,027,566円744,434円
収支-461,570-249,692-451,566-118,434

他の部門の収益がなかったら、危なかったです。でも、これが認可外保育所の実情です。

②ぴょんたランドの生き残る道について

 上記のような収支の場合、例えば飲食店なら「客を増やそう」となりますし、逆にシステム導入などによって支出を減らすこともひとつの手段でしょう。経営の基本は、単純な差し引きであり、収入を増やすか支出を減らすかのどちらかが求められます。JALの再生でおなじみの稲森和夫の言葉「売上最大経費最小」とはよく言ったものです。

 しかし、保育所の場合はそうはいきません。命を守る仕事であり、大切な幼少期を過ごす場所でもありますから、児童が増えれば人員は増やさなければなりませんし、児童が少ないからと言って人員を極端に減らすことはできません。もちろん、雇用を守るうえでもすぐにリストラ等はできません。

 現状のぴょんたランドは、実は法令の条件よりも1名多く保育者を配置しているような状況なのですが、さまざまな実情を考えれば減らすことはできないでしょう。

 では、本当に生き残る手段がないのか?実は、私の方で画策していることが何点かあります。

(1)時間帯を区切ってのコミュニティ保育の運営

(2)時間帯と場所を区切っての地域児童クラブの運営

(3)厚木市内での公設保育所の民営化に食い込む

(4)当社の状況を社会問題化し、無理矢理でも認可移行を行う

(1)の「コミュニティ保育」はご存じの方もいらっしゃるかもしれません。簡単に言うと、保護者の団体が自主的に運営する保育のことです。厚木市の場合、認可外保育施設にはあまり助成金を出さないのに対して、コミュニティ保育にはそこそこの助成金を出しています。そこで、当社としては、例えば「8時から10時まではコミュニティ保育、11時から18時までは認可外保育施設」と時間を区切ることによって、コミュニティ保育の助成金を受け取れないかと考えました。

(2)はいわゆる「放課後児童クラブ」の民間企業バージョンです。社会全体では小学生の待機児童問題も徐々にクローズアップされているため、ここにも助成金が出ています。ぴょんたランドのなかで時間や場所を区切り、数名の小学生を受け入れることで、放課後児童クラブの助成金を引っ張れないかと考えました。

(3)は以前相談した市議会議員の先生がふと口に出したお話です。現在、厚木市では公設保育所の民営化を進めているとのことでした。厚木市内で長年保育園を運営している事業者が優先されるであろうことから当社が食い込める余地はほとんどないのですが、数パーセントにかけてこの道を走るのもひとつの手段です。

(4)は半分「やけくそ」です。この文書に書いた問題点が存在していると考えているため、それを様々なマスメディアに取り上げていただき、我々の声を様々な機関に届け、無理矢理にでも認可移行を行う方法です。

(1)~(4)以外にも手段は考えているのですが、まだ具体化できていなかったり、やや制度が複雑なものもあるので、ここでは割愛します。

いずれにしても、ぴょんたランドで子どもたちを保護者の皆様から託されている以上、従業員一丸となって上を目指していかなければならないことに変わりはありません。まだまだ課題は多いと認識しておりますが、少しでも「ぴょんたランドに行ってよかった(通わせてよかった)」と思っていただけるよう、私は経営者の立場として精進してまいります。なかなか施設に顔を出せず大変恐縮ではございますが、今後ともご指導ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

2021年2月16日

株式会社リーガルエキスパート

代表取締役 永江広明

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